黄金比による絵画の検証:「ひと」作・大路祐也(やまなみ工房)

今回は真面目な研究です

無粋なこととは知りながらこの度、敢えて絵画の検証などさせていただきます

SPACEやおよろずが「これは!」と感じたアートを様々な切り口でご紹介する企画「スーパーアート研究所」。

今回は先日訪問した「やまなみ工房」さんの展覧会のなかから1点をピックアップし真面目に検証させていただきました。

検証させていただいた作品はこちら。

「やまなみ工房展覧会展示作品」より
タイトル:ひと
作:大路裕也

それはダ・ビンチの絵を分析!的な切り口で検証することですごい発見がある宇宙的名画でした

展覧会場でこの絵を鑑賞したとき、画面構成にただならぬものを感じ写真に収め帰宅後に黄金比のスケールで画面構成を検証しました。

黄金比は人間を含む生命全て、そして宇宙の根幹をなす生命の数列ともいうべき「フィボナッチ数列」から導き出される「1:1.618」という比率のことで様々な実用的分野で使用されている比率です。今回はこれを「美の定規」として用いています。

※黄金比について詳しくは関連記事をご覧ください。

知ってて損なし!いまだからこそ訊こう 10分でわかる、黄金比解説

2019年9月19日

美術の世界で黄金比は歴史的名作の学術的検証にしばしば用いられています。レオナルド・ダ・ビンチの絵画は黄金比を参照して描かれた典型的な絵画として頻繁に引用され、ネット上にも多くの検証記事を見つけることができます。

衝撃の検証結果を解説

まずは、大きなバランスから観ていきましょう。

人物のバランスの左右比(重心の位置)。黄金比のラインにキッチリと縦一文字にライン(モザイク状)が見えます。

イエローの面積が大きく視線が集められる箇所のある位置(重心の上下比)も黄金比の水平ライン上です。

これで、縦横の大きな構図は黄金比にピタリと一致しました。

※ここからは、黄金螺旋(対数螺旋)で検証していきます。(黄金螺旋についての詳細は既出の関連記事をご覧ください)

キャンバスに対する人物の収まりは黄金比の定規をあてがい計ったかのように寸分の狂いもありません。
顔の中心(鼻の頭)がピッタリとボックスのラインの接点ブルーの ●)になっていることもわかりました。

いずれもフリーハンドであるにもかかわらず、ものすごい精度です。

こちらも黄金比的に見事としか言いようのない空間(間)の取り方となっています。

大路さんの感覚には黄金比が高い精度で備わっていることは間違いありません。

用紙サイズの制限から左側に比率に収まらない空間が生じていることもしっかりと把握して、若干見切れる形のボックスを意識したラインどりをされています。

これもすごいテクニックです。

螺旋の弧の軌道上にも余念無くモチーフが配置されています。
螺旋の渦の中心部分もハッキリと意識されていることがわかるかとおもいます。

大きなボックスがお互いに邪魔し合うことなく完成したパズルのようにキチンと収まっていることがわかります。

極めて高度で精緻な画面構成です。細かく追っていくとさらに多くのボックスを発見できることでしょう。

この絵画には生き物の身体のような複雑に絡み合った黄金比のパズルがみられます。

この絵に生命を感じ、生き生きと躍動して観えるのはそのためかもしれません。

人体を含む動物の体は黄金比のパズル

まとめ

全体の構図は定規で計ったように寸分の狂いもなく美しく黄金比におさまっており、その美意識は細部に至るまで徹底されています。

構図の骨格を構成する大きな黄金比のボックスがずれたり中途半端な重なりをすることでお互いに邪魔することなく見事に調和しています。

これは比率的に 1000分の1の精度が必要な手技です。

それは例えば定規を当てずに1m 角の用紙の縦横 432mm のところに一発で点を描ける精度となります。しかもそれを連続して達成し、絵画として仕上げているのです。

「極めて高度で精緻」な画面構成であることは間違いありません。

今回は黄金比を用いた画面構成のみの検証となりましたが、この絵画のもう一つの大きな見どころである「美しい色彩」にも何か秘密がありそうです。

検証の糸口がつかめたら是非とも再検証させていただきたいと思います。

※ 作品写真の使用につきましては展覧会主催者さまの許可を得ております。

ツーショット撮影を快く引き受けてくださった「ひと」作者の、大路裕也さんと私。誰に対しても終始、超ウェルカムな雰囲気の大路さんから受けた印象を一言であらわすなら「ハッピーマン」です。

関連外部リンク

やまなみ工房公式ウェブサイト
やまなみ工房の公式ウェブサイトです。活動に関する情報のほか、所属アーティストの方々の作品を数多く閲覧することができます。
大路さんの作品も多数掲載されております。

バリバラ公式ウェブサイト
この日の様子が NHK Eテレ「バリバラ」で放送されます。
バリバラ:アートの力で『縁』をつなごう
OA 10月3日(木)夜8:00  再放送 10月6日(日)0:00(土曜深夜)

※ 右端に見切れてるり子も映っています(笑)

ABOUTこの記事をかいた人

神奈川県出身、京都在住。 京都府移住の前は東京都で15年間エンターテイメント系のクリエイター業を営む。結婚を機に京都に移り住み、SPACEやおよろずの活動を始める。