ハズレ?引くとガッカリする絵のオラクルカード(1)

第1回「大天使ミカエルオラクルカード」編

まずは、大天使ミカエルについて少しおさらい

ミカエルはユダヤ教、キリスト教、イスラム教における最も偉大な天使とされ、多くの信仰を集めている超人気スター

といっても日本ではあまり馴染みがなく、どのような存在なのかパっとイメージできない人も多いのではないでしょうか?

日本で馴染み深い神様でいうと不動明王が近いです。(天使は霊的存在ではありますが神様ではなく神の使い、使徒ということになっています)

左:グイド・レーニ作の大天使ミカエル像  右:長福寺所蔵の不動明王二童子像

両者ともに魔物を退ける破邪の存在というところでは一致していますし、ミカエルの和名「熾天使(してんし)」は燃える天使という意味でこれもまた燃え盛る炎を背負った姿で描かれることの多い「お不動さん」のイメージと同一です。(ミカエルのまとう炎はマントとして表現されていることも多い。)

ミカエルは「西洋のお不動さん」と思っていただいてもそう遠くはないかとおもいます。

忠実な神の使いにして完璧なる悪の敵。魔に対しては1ミリたりとも容赦しない宇宙最強の天使という、魔物からすれば超絶恐ろしい存在のようです。

絵的には不動明王はあたかも鬼の形相をした力士のように描かれ、ミカエルはほとんどの場合、金髪白人、容姿端麗で中性的、筋肉隆々の美少年戦士が魔物を踏みつけるポーズで描かれます。

大天使ミカエルオラクルカードについて

大天使ミカエルオラクルカード(2009年発売)© 2009 by Dreen Virtue(http://doreen.jp)

全44枚のカードの絵柄は数名のクリエイターが分業で作画しており、中には既存の絵画をそのまま使用しているカードもあります。

オラクルカードのオラクル(oracle)とは、古代ギリシャ語で神官や巫女。神のおつげ。神託(しんたく)。託宣(たくせん)。を意味します。

西洋精神世界のスーパースター・大天使ミカエルと、
オラクルカード界の女王ドリーン・バーチュー Ph.D.が夢の共演!

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00年代に突然巻き起こったオラクルカードの世界的ブーム。

日本でも空前のスピリチャルブームと相まってオラクルカードが人気となり、国産のオラクルカードも多数発売されるようになりました。

ピークに比べればやや下火感はありますが、まだまだ根強い人気があります。

ブームの火付け役となったのは、ドリーン・バーチュー Ph.D.(Dreen Virtue Ph.D.)がプロデュースした良質なオラクルカードのシリーズ 。

同氏の日本語公式ウェブサイトによるとシリーズは現在30種あり、日本で最も売れた「エンジェルカード」は 50,000個(セット)世界では… シリーズ累計は… 定かではありませんがかなりの数にのぼるであろうことは容易に想像できます。

まさに、オラクルカード界のユーミンといっても過言ではないでしょう。

そんなドリーンの世界的バカ受けオラクルカードシリーズの第13弾が「大天使ミカエルオラクルカード」なのです。

ドリーンのオラクルカードはなぜ大ヒットしたのでしょう?

オラクルカードといえばタロットが有名ですが、目新しさに乏しくタロットカード市場は浮きもせず沈みもせずだったように思います。

タロットは解釈が難しくまた、内容(暗示)が死や破滅をイメージさせるハードなものも含むためプロの占い師ではない一般の人が手を出すには敷居が高かったんでしょう。

一方で占い好きの女性を中心に自分もタロットのようなオラクルカード[*1]を引いてみたい(でも怖い)という密かな願望があり、そこに大きな潜在需要があったところへ同氏が持ち前の信仰心と、卓越した心理学の専門知識を注ぎ込んだ「前向きで軽やかな、それでいて含蓄のある、全く怖くない」カードを提供したところユーザーのこころを鷲掴みにとらえ、一気に世界的ブームとなりました。

[*1. ]当時はフォーチュンカードとも呼ばれていたような記憶があります。

洋物オラクルカードあるある

ドリーン・バーチューの手がけたオラクルカードはその内容(テキスト)のクオリティーが高く評価され人気を博しましたが、ドリーン以外の方がプロデュースしたオラクルカードであってもそのテキストの内容が特に粗悪だったというような話はあまり聞きません。

しかし、カードの絵柄のクオリティーに関してはほぼ例外なくバラつきがあります。

10点満点の絵柄もあれば、私の目には贔屓目に見ても3〜4点というものもパラパラ混ざっているのは事実です。

中にはカードを引いた瞬間「あ〜今回はコレかぁ」と内心軽く落胆するものも。

絵柄の製作はカロリーが高いため、期限内に予算内で製作を完了するためにかなり妥協している(せざるを得ない)部分なのでしょう。

今回はそのような現実の障壁に阻まれ、クオリティーの壁を越えることができなかったオラクルカードたちを紹介します。

ミカエルカードを引いてガッカリするとき

① 石立鉄男そっくりのミカエルを引いたとき

© 2009 by Dreen Virtue(http://doreen.jp)

絵の作者については詳細不明ですが中世の画家によって描かれたようなタッチの石立鉄男そっくりのミカエル。

全ユーザーを代表してハッキリ言います。

いくらなんでも、コレはないでしょう(笑)!

週末のお風呂上がりに、キャンドルを灯しお香を焚いてホットワインを飲みながら、

「あ〜、ワタシ今週も頑張ったなぁ… そうだ、寝る前に1枚引いてみようかな♡」

シャッフルすると白いシーツの上にドーンとこの血色の悪い無表情なミカエルが!

ほとんどホラーでガッカリ。

② シュワちゃん似のミカエルを引いたとき

© 2009 by Dreen Virtue(http://doreen.jp)

映画ベンハーに出演していた若き日のアーノルド・シュワルチェネッガーを彷彿とさせるミカエル。

刀身に映る男は現代を生きる若者。つまりカードへの質問者を暗示している…

という高度な隠喩なのです。

しかし、口元にひしめく黒点に違和感を禁じえません。

天使の口元に、のびかけの青ヒゲを描く必要ある?

絵なのだから引き算することもできたハズなのに。

作者の生真面目さだけが伝わってきてガッカリ。

③ チャラいミカエルを引いたとき

© 2009 by Dreen Virtue(http://doreen.jp)

目指したものは今風のイケメン・ミカエルといった趣なのでしょうか?

しかし、そのアイデアに気を取られすぎた結果、大天使としての何か大切な要素が抜け落ちて

ただのチャラいアンちゃんになってはいないでしょうか?

人間ドックを受けているチャラ夫に見えなくもなく、隙あらば看護師さんをナンパしそうです。

(そしてコイツもやはり剃りきれず残った口ヒゲを描きこまれています。なんでっ!)

このような「面白さ」を勘違いしたある種、未熟な感じの作品が散見されるのがこのオラクルカードセットの本当に惜しくもあり、愛すべきポイントなのかもしれません。

④ 今ひとつパッとしないミカエルを引いたとき

© 2009 by Dreen Virtue(http://doreen.jp)

う〜ん。どうなんでしょう?

このミカエルは何よりもまず、眠そうです。

早朝の通勤電車でみかける夜勤明けの若者のような眠たげな眼をしています。

顔にかかる後れ毛のようなものも、その意図せぬ疲労感の演出に一役かってしまっています。

そしてやはり、濃いめの青ヒゲが「夜勤明け感」にトドメを刺していますね。

⑤ 気の弱そうなミカエルを引いたとき

© 2009 by Dreen Virtue(http://doreen.jp)

メッセージが Sense of Humor(ユーモアのセンス)なので、やや口元が微笑む感じのミカエルということなのでしょう。

作家さんの筆圧弱めの繊細なタッチも手伝ってか、彼の表情はユーモアでイタズラっぽく笑っているのではなく、

いじめられっ子が周囲からのイジリに対して返す力無い微笑みって感じが…

本当は優しく繊細でイイヤツな感じはすごくするので、そこはずっと大切にして欲しいです。

⑥ ガチガチに緊張したミカエルを引いたとき

© 2009 by Dreen Virtue(http://doreen.jp)

何があったのかはわかりませんが、顔つきとポーズがガッチガチにこわばって硬直しています。

立派な甲冑に剣と盾までフル装備しているのにすごく弱そうです。

自信のなさが全身から滲み出てしまっています。

もし危険が迫っても、このポーズのままじっとして助けてはくれないでしょう。

メッセージに Have Confidence(自信を持て)とありますが、

それはまずコイツに言ってやりたいです

⑦ ジェンダーギャップを感じるミカエルを引いたとき

© 2009 by Dreen Virtue(http://doreen.jp)

© 2009 by Dreen Virtue(http://doreen.jp)

コスチュームのせいでしょうか?そこはかとなくオカマ感の漂うミカエルです。

ミカエルは天使ですので生物学上の性別とはあまり関係のない存在のような気がしますし、オカマっぽいことがガッカリの原因ではないような気もするのですが、

とにかく着飾っている割には見栄えがしないのは気になります。

顔だけ見ると、どこにでもいそうな普通の人ですし。

天使としての実在感よりも、偽物感が強いのが残念です。

⑧ ミカエル度、ゼロ%のミカエルを引いたとき

© 2009 by Dreen Virtue(http://doreen.jp)

天使っぽくなさ。でいえば全44種のカードの中でこのカードの右に出る者はいないでしょう。

ミカエルとしての特徴を全く備えていないばかりか、単に天使の絵としてすら説得力にかけます。なにせ頼みの綱の「翼」すら、それと見えるかどうかかなりギリギリのラインです。

オラクルカードのコンセプトをほぼ完全に無視した問題児といえます。

「大天使ミカエルオラクルカード」と書かれた箱の中から出てこなければ、誰もこの絵の人物をミカエルとは思わないはずです。

そこだけはズバ抜けています。

ドリーン・バーチュー Ph.D. その後…

もしかして、天才?

今や名実ともにオラクルカードの女王となった彼女にとって、30種類ものオラクルカードのプロデュースを手がけるのは半生をかけての大仕事であったに違いありません。

しかし、2019年彼女は以下の宣言をして自らの全経歴を放棄しました。

「私は悪魔に騙されていた」

彼女は自らのカードを使用した個人セッションのプロを養成するスクールとその組織的運営も行なっていたので関係者はお茶を吹き出したり、ひっくり返ったりしたことでしょう。

もちろん本人はいたって真面目なのだとおもいます。

それにしてもこの立ち回りっぷり。ひょっとして、天才?

創始者が突如それまでの思想と業績を全否定したにもかかわらず、その後も勝手に人気が一人歩きしつづけカードにプレミアがついて価格が高騰いるあたり、つくづく商売ありきだなあと思います。

このことについて真面目に批判する人もおられるようですが、正論で批判してもしかたないような気もしています。

そういう方はもしかすると、彼女と彼女のカードをどこか神聖視していたのかもしれないですね。

彼女のプロデュースしたいくつかのカードをじっくりと鑑賞したことがありますが、感動できるほどの完成度を持った製品は一つもありませんでした

特に絵柄に関してはけっこういい加減で、何処かの国のバチものレベルのクオリティーの絵が散見されます。

素晴らしいものを創るのだ!という意識より商売として利益を確保するための打算が思いっきりクオリティーに跳ね返っている製品ということです。

この時点で神聖なものなわけないです。

ただ、私は人間のそういう「一事が万事ちゃんとしていないところ」に面白さがあると思うタイプなのでそんなドリーン・バーチュー Ph.D. プロデュースのオラクルカードが全種類欲しくなりました!

ABOUTこの記事をかいた人

神奈川県出身、京都在住。 京都府移住の前は東京都で15年間エンターテイメント系のクリエイター業を営む。結婚を機に京都に移り住み、SPACEやおよろずの活動を始める。