3万人の群衆の前に現れた「空挺」
9月になる頃には、イギリスやオーストラリアから聖職者やジャーナリストまでもが聖母の出現を一目見ようと集まるようになり、約束の13日には3万人の群衆で溢れかえっていました。
ヒイラギの木は多数の訪問者により引き抜かれて跡形もなくなっており、代わりに木造の「出現の門」が建てられていました。

ここに到着した3人はすぐに祈りの姿勢に入り、「みなさん、ロザリオを唱えてください!」とルシアが群集に向かって叫ぶと、側にいた人々からひざまずいてロザリオを唱え始めました。それは次々と連鎖して、3万人の人々全員が地面にひざまずきました。
正午になる頃、コバにはどよめきが起こりました。
「わーっ、出たぞ!」
「あれを見ろ! 聖母だ!」
明るく輝いていた太陽がにわかに光を失ったと思うと、コバ一帯は黄金色になりました。
「聖母さまがいらっしゃいます! あそこです! あそこ!」
ルシアが指さす先には、なんと銀白色に輝くタマゴ型の物体が、ゆるやかに東から西に移動して、”出現の門”のすぐ上まで来てから消えました。
ルシアが聖母とコンタクトを始めると、人々はその様子をかたずをのんで注視します。ルシアの視線は、眼の前の空間の一点に注がれたまま、体は微動だにしません。
15分が経過した頃、
「聖母さまがお帰りです!」
その途端、またもどよめきが起こりました。
あの銀白色のタマゴ型の球体が出現して、コバの上空をゆっくりと上昇していきます。
「聖母の乗物だ!」「聖母のお帰りだ!」
この光景は、間違いなく3万人の人々に目撃された事実であり、錯覚などではありません。
(このタマゴ型の浮遊物体は、「聖母の輝く空艇」と呼ばれている。)
神秘の現象は、この”空艇″の出現と同時に、ひとかたまりの純白の”雲″が降下して3人の子供を包み、更にまっ白な綿状のものが空から降り地面にとどかないうちに消えていきました。
5回目に伝えられたメッセージ
聖母「戦争(第1次大戦)が早く終わるように祈りなさい。10月13日には聖ヨセフとイエスをつれて来ますから、あなたがたも、当日は必ずここへいらっしゃい」
ルシア「聖母さま。数人の方から病気を治していただくように頼まれましたが、本当に治してくださいますか?」
聖母「治してあげましょう。でも、全部の人というわけには参りません。イエスは、あの人たちを信用していないのよ」
自分の病気さえ治ればよい、という自己中心的な人々の心の中を聖母はお見通しなのでした。
聖母がコンタクトを終えて去って行くと、純白の雲は消滅し、不思議な綿雪も降りやんで、銀白色の球体は上昇し、太陽の光も元通りに輝きました。
(綿雪は実際に撮影されている。)
この9月13日に出現した銀白色の未確認飛行物体はファティマ事件の信憑性を高め、決定的なものにしたのでした。
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