ファティマの聖母 4回目の出現

牢に入れられ拷問を受ける子供達

 

すっかりファティマの子供達は「人気者」になっていました。

 

各地から旅行者が訪れ、子供達の家にやって来たり、コバ・ダ・イリアの柊の木の周りを歩きまわったりするので、コバ一帯の畑は荒らされ、ルシアの母親はますますヒステリックになっていくのでした。

 

当然、ファティマの事件も役所の耳に入り、これによりカトリックが勢いを盛り返すことをおそれて、郡長は一挙にこのムーブメントを壊してしまおうと計画したのでした。

 

役人は3人の子供とその両親に郡役所へ出頭することを命じました。

 

郡長が徹底的に脅しをかけてルシアに「私の体験はすべてウソでした」と告白させようとしたのですが、10歳のルシアはあくまでも真実であると主張して郡長の言葉には従いませんでした。

 

そして約束の8月13日がやって来ました。この日は数万人の群集がコバの地に集まり子供たちを待っていました。

 

子供達が現れると、人々は彼女たちを囲み、聖母さまに願い事を伝えてくれと口々に話しかけてくるので、3人はもみくちゃにされてなす術もありません。

 

大騒ぎの中、役所から子供達は帰宅するよう命じられます。郡長がフランシスコとジャシンタの家まで来ていたからです。

 

子供達は帰宅すると郡長に馬車に乗せられて大群集の待つコバ・ダ・イリアへ行くと見せかけ、別の場所に連行されたのでした。

 

その事により聖母の出現の時刻が過ぎてしまいました。

 

3人は約束を破ったということから良心の呵責にかられて大いに悲しみましたが、どうする事も出来ませんでした。

 

その間、コバ・ダ・イリアでは2万人近い群集が待機し、帰宅した子供たちが再び来るのを待っていました。

 

そのうちに、子供たちは郡長の手で監禁されたという噂が広がったために、群集は怒り出し、口々に郡長をやっつけろと叫びました。

 

聖母が子供達のいない2万人の群衆の前で見せた奇跡

 

しかしここで不思議な現象が発生しました。

 

快晴の空に突如雷鳴がとどろいて閃光がきらめいた後、美しいひとかたまりの雪が降下してヒイラギの木の上にとまり、10分後に上昇したのです。

 

やはり聖母が降臨したのだと、人々は歓声をあげて祝福の言葉を叫び合いました。

 

一方、郡長は3人の子供を牢に入れて3日間責め続けましたが、子供達はどうしても嘘をついたとは白状しません。

 

しぶといヤツらだと、大釜に油を満たして煮え立たせ、「白状しなければ3人ともこのなかに放り込んで油揚げにしてしまうぞ!」と恐ろしい形相で怒鳴り続けました。

 

それでも3人は、絶対にと言って良いほど偽証をしません。呆れ果てた郡長は、すっかりあきらめてしまい、3人を釈放しファティマへ帰しました。

 

こうした出来事から言えることは、この3人の子供たちは常人とは思えないような高度な精神性と熱烈な信仰心を持っている事。

 

あらゆる迫害や嘲笑にもめげずに自分たちの体験が真実であることを訴え続ける鉄のような信念は、どうみても10歳かそこらの子供とは違います。

 

これは歴史的な「事実」であって、誇張ではありません。ファティマの事件自体がかなり特異な出来事ではありますが、この3人の子供たちの言動にも驚かされるばかりです。

 

母親に起きた奇跡

 

さて、郡長の拷問から解放されてファティマへ帰ったルシアは、4日後の8月19日、フランシスコと兄のヨハネと共にワリンホスの草原で羊の番をしていました。

 

正午の事です。突然、空中に閃光がきらめいたのでした。

 

ハッとしたルシアは、家にいるジャシンタを呼んで来るようにと兄に頼みました。ジャシンタがやって来るとすぐに、あの聖母が出現したのです!

 

聖母はヒイラギの木の上に立って、微笑しながら話しかけました。

 

「可哀そうに、大変な目にあって―。13日にコパ・ダ・イリアへ行けなくてお気の毒でした。悪い人たちの妨害がありましたから、10月に行うと約束した奇跡はたいしたことにならないかもしれません。でも過激派の人たちを憎まないで、改心するように祈ってあげてください。苦行を実行しなさい。罪人のために祈りなさい。沢山の祈りを行い犠牲を捧げなさい。多くの霊魂が地獄に落ちて行くのは、その人たちのために身を犠牲にする者がいないからです」

 

聖母はそう伝えると去って行きました。

 

ヨハネにはその姿は見えませんでしたが、ルシアのコンタクト中に太陽の光が変化し、聖母が上昇したときに空中で爆弾が破裂するような音を聞きました。

 

帰りぎわにルシアは、ヒイラギの枝を折り取って家へ持ち帰りました。

 

ジャシンタがそれをルシアの母親に見せて、「きょうも貴婦人が現れて、その御足がこの枝の上に立っていらっしゃったのよ」と話しました。

 

すると、その枝からなんともいえない芳香が放たれている事に気づいた母親は驚きました。そして、それ以来、彼女は娘の体験が真実であったのだと思うようになりました。

 

こうして子供達の両家にやっと平安が訪れるかに見えましたが、これだけでは終わりませんでした。

 

続いて9月に驚異の奇跡が発生し、更に10月には7万人の大群集の眼前で説明のつかないような異変が空中に起こり、世界中に名を残す事件として広まったのです。

続く

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